ホンダ ベンリィCD125(初期型)の記録

古いビジネスバイクに乗っている方、CD125初期型(1966年式~1969年式)に乗っている方に向けて情報発信していきます。記事の追加情報や、記事の中に間違いがあった場合には教えていただけると有難いです。

Lクランクケースカバーのオイル漏れ①(原因調査編)

ベンリィCD125(初期型)および、ほぼ同型エンジンのC92で起こりがちなエンジン左側からのオイル漏れ。

今回はその原因について書いていきます。

単にオイルシールがダメになっていてそこからオイル漏れを起こしているのであれば、オイルシールを新品に交換すればいいだけなのですが、Lクランクケースカバーのオイル漏れについては”全てのオイルシールを新品にしたにも関わらず”起きてしまうことが多いようなので厄介です。

 

まずはオイルが漏れてくる箇所の確認から。

Lクランクケースカバー

Lクランクケースカバーの下側。画像中央あたりに漏れたオイルが垂れてきます。

クランクケースとLクランクケースカバー合わせ目の下側から漏れてきて、ステップバーがオイルで濡れてきます。

 

次に、分解してさらに詳しくどこから漏れてくるか探っていきます。

コンタクトブレーカーカバー取り外し

Lクランクケースカバー取り外し

ダイナモステーター下側

ダイナモステーター下側からオイルが伝ってきています。
更に分解していきます。

ダイナモステーター取り外し

スパークアドバンサー取り外し

ジェネレーターローター取り外し

ここからUVライトを使ってオイルが垂れている場所を見ていきます。

セルモータースプロケット表側。凹部に溜まったオイルがUVライトに反応して光っています。

セルモータースプロケットの下にも垂れたオイルがあってUVライトで光っています。

セルモータースプロケットを外します。

セルモータースプロケットの裏側は、オイルシールが当たる部分より外側に光るところはありませんでした。

セルモータースプロケットを外すとオイルが垂れてくるので、ガッツリ光ってますね。

ちなみに、UVライトが無いとこんな感じです。

以上の状況から、セルモータースプロケットに嵌っているオイルシールから漏れているようです。

セルモータースプロケット裏のオイルシールからの漏れについては判断に迷うところですが、セルモータースプロケットを外した時に出来たオイル溜まりのところに、セルモータースプロケットを外す前にはオイルが殆どなかったことから、ここからの漏れはなかったものと思います。

 

ということで漏れ箇所が確認できたので、何故ここから漏れるのかを考えていきます。

エンジン断面図

エンジン稼働中、クランクシャフトが回転しているのに対してセルモータースプロケットは回転していないので潤滑が必要です。

そのためオイルが下図のように流れています。

ダイナモステーターベースとセルモータースプロケットの穴の内径には螺旋溝が彫ってあり、クランクシャフトの回転によってオイルが送り出されるようになっています。

ダイナモステーターベース(クランクケース側)。オイルをクランクケース内に排出する穴が2つあります。

セルモータースプロケット(表側。オイルシールを外しています)。オイルがダイナモステーターベース側へ戻る穴が3つあります。

このオイルの流れのなかで、今回のオイル漏れが起きています。

ということなので、ひとまず原因としては、

【1】ダイナモステーターベースからセルモータースプロケットにくるオイルが多い。

【2】セルモータースプロケットからダイナモステーターベースに戻るオイルが少ない。

のどちらかということにしておきます。

 

※クランクシャフトが痩せてオイルシールが機能していないことも疑いましたが、オイルシールのあたる部分とそうでない部分の外径の差が0.01㎜以下だったので、それは除外しています。

 

長くなってしまったので、原因から真因の推測とその対処法については、また次回書いていこうと思います。