ベンリィCD125(初期型)および、ほぼ同型エンジンのC92で起こりがちなエンジン左側からのオイル漏れ。
今回はその原因について書いていきます。
単にオイルシールがダメになっていてそこからオイル漏れを起こしているのであれば、オイルシールを新品に交換すればいいだけなのですが、Lクランクケースカバーのオイル漏れについては”全てのオイルシールを新品にしたにも関わらず”起きてしまうことが多いようなので厄介です。
まずはオイルが漏れてくる箇所の確認から。
クランクケースとLクランクケースカバー合わせ目の下側から漏れてきて、ステップバーがオイルで濡れてきます。
次に、分解してさらに詳しくどこから漏れてくるか探っていきます。
ダイナモステーター下側からオイルが伝ってきています。
更に分解していきます。
ここからUVライトを使ってオイルが垂れている場所を見ていきます。
以上の状況から、セルモータースプロケットに嵌っているオイルシールから漏れているようです。
セルモータースプロケット裏のオイルシールからの漏れについては判断に迷うところですが、セルモータースプロケットを外した時に出来たオイル溜まりのところに、セルモータースプロケットを外す前にはオイルが殆どなかったことから、ここからの漏れはなかったものと思います。
ということで漏れ箇所が確認できたので、何故ここから漏れるのかを考えていきます。
エンジン稼働中、クランクシャフトが回転しているのに対してセルモータースプロケットは回転していないので潤滑が必要です。
そのためオイルが下図のように流れています。
ダイナモステーターベースとセルモータースプロケットの穴の内径には螺旋溝が彫ってあり、クランクシャフトの回転によってオイルが送り出されるようになっています。
このオイルの流れのなかで、今回のオイル漏れが起きています。
ということなので、ひとまず原因としては、
【1】ダイナモステーターベースからセルモータースプロケットにくるオイルが多い。
【2】セルモータースプロケットからダイナモステーターベースに戻るオイルが少ない。
のどちらかということにしておきます。
※クランクシャフトが痩せてオイルシールが機能していないことも疑いましたが、オイルシールのあたる部分とそうでない部分の外径の差が0.01㎜以下だったので、それは除外しています。
長くなってしまったので、原因から真因の推測とその対処法については、また次回書いていこうと思います。